シルバー精工が2度目の不渡りで倒産、上場廃止

2010年12月28日、シルバー精工【東証1部：6453】が、同社が振りだした約束手形が12月に入って2度目の不渡り※となり、手形交換所における取引停止処分を受けたと発表しました。不渡りの総額は10億円で、銀行取引が停止されました。

※不渡り（ふわたり）とは、手形や小切手の支払期日を過ぎても債務者から債権者へ額面金額が引き渡されず決済できないこと。

企業信用調査で有名な帝国データバンクでは、「２回目の不渡りを出し銀行取引停止処分を受ける」ことは倒産とみなしています。つまり、シルバー精工株式会社は2010年12月28日付けで倒産したことになります。

シルバー精工の負債は、2010年3月末時点で約15億7800万円です。

シルバー精工の倒産を受け、東京証券取引所は、シルバー精工株を2011年1月29日付で上場廃止にすると発表しました。

以下、帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。

2010/12/28（火） 情報機器・家庭用機器・編機製造
東証１部上場
シルバー精工株式会社
銀行取引停止処分受ける

TDB企業コード：985301109
「東京」　東証1部上場で各種プリンタなどの情報機器、編み機製造などを手がけるシルバー精工（株）（資本金175億511万2967円、新宿区上落合2-28-7、代表嶋田彰氏、従業員49人）は、12月28日付で銀行取引停止処分を受けた。

　～～～中略～～～

　2011年3月期の第2四半期決算でも営業損失、四半期純損失から「継続企業の前提に関する」注記が記載されるなど、各事業の苦戦から経営難が続き12月16日、12月22日に相次いで不渡りを出していた。

さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。

四季報でシルバー精工の2011年3月期の中間決算を見るに、シルバー精工は総資産34.08億円に対して、自己資本(株主持分)が3.67億円しかありません。

総資産と株主持分から計算すると、株主持分比率は10.8%とよくない数字です。

有利子負債は10.8億円で、総資産に対して過大とはいえません。

しかし、利益剰余金は-183.79億円となっています。大幅なマイナスで非常に悪い数字です。利益剰余金が大幅にマイナスになっているのは、倒産する会社にありがちです。

営業キャッシュフローは2010年3月期の本決算で-11.49億円となっています。これまた、悪い数字です。また、同時期の投資キャッシュフローは-0.57億円となっていました。こちらは問題ありません。

そして、同時期の財務キャッシュフローは+13.29億円となっています。

貸借対照表の数字が悪く、ここ最近、赤字の年が続いていたため、シルバー精工には継続企業の前提に関する重要な疑義が付いていました。

やはり、「継続企業の前提に関する重要な疑義」が付いている銘柄は、買わない方が無難でしょう。

シルバー精工株は、2011年3月期の中間決算が出た時点ですでに、「買ってはいけない銘柄」になっていたといえます。

なお、今年に入ってからの上場企業の倒産は、下記のようになっています。シルバー精工が10社目となります。

▼2010年度 倒産上場企業の一覧

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