武富士、会社更生法申請(倒産)で上場廃止

9月28日、武富士【東証1部：8564】が東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、受理されたと発表しました。

いわゆる倒産です。帳簿上の負債は約4336億円です。但し、過払い金返還請求の状況によっては負債が膨らむ可能性があります。

これを受け、東京証券取引所は、武富士株を１０月２９日付で上場廃止にすると発表しました。

以下、企業信用調査で有名な帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。

2010/09/28（火）

消費者金融
東証１部上場
株式会社武富士
会社更生法の適用を申請
負債4336億800万円

TDB企業コード：984014349

「東京」　消費者金融大手4社の1角、（株）武富士（資本金304億7790万円、新宿区西新宿8-15-1、代表吉田純一氏、従業員2103名）は、9月28日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、保全管理人に小畑英一弁護士（千代田区九段北4-1-3、連絡先電話0120-390-302＜武富士内コールセンター＞）が選任された。

　～～～中略～～～

　過払い金返還請求の高止まりをはじめ厳しい業界環境が続くなか、格付け会社が当社の格付けを引き下げたことなどもあり、資金繰り面を含め動向が注目されていた。

また、2018年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債について繰上償還請求問題を抱えていたため、これに対応すべく社債権者に対し、現金のみ、または現金および2011年満期ユーロ円建普通社債の組み合わせを対価とした交換募集を実施し、負担軽減を図るなどしてしのいでいた。

2010年3月期は営業貸付金残高が対前期末比3割減の約5894億円に落ち込んだことで、年収入高は約1194億300万円にまでダウンしていた。

　負債は2010年6月末時点で約4336億800万円。但し、過払い金返還請求の状況によっては膨らむ可能性がある。

さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。

しかし、武富士の場合、四季報を見ているだけでは、私は倒産する可能性を見いだすことができませんでした。

9月28日付けの日経新聞ウェブサイトの記事によると、「武富士の帳簿上の負債は4336億円強だが、新たな過払い金の返還請求が大量に寄せられる見通し」ということです。この「新たな過払い金の返還請求」が、四季報に載っている情報には織り込まれていないので、私は武富士が今年中に倒産すると思っていませんでした。

さて、四季報で武富士の2011年3月期の第1四半期決算を見るに、武富士は総資産5592億円に対して、自己資本(株主持分)が1544億円あります。総資産と株主持分から計算すると、株主持分比率は27.6%であり、それほど悪くない数字です。

有利子負債は1467億円ありますが、総資産に対して過大というほどではありません。利益剰余金は1099億円のプラスとなっています。

営業キャッシュフローは2010年3月期の本決算でプラス1090億円となっています。また、同時期の投資キャッシュフローは56億円のプラスとなっていました。

そして、同時期の財務キャッシュフローは-1510億円となっています。

正直、四季報で「武富士の2011年3月期の第1四半期決算」の数字を見ただけでは、私には倒産寸前の企業には見えませんでした。

しかし、2010年6月に改正貸金業法が完全施行され、個人の借入総額を年収の3分の1までに制限する「総量規制」が始まった影響や、利息返還請求の高止まりの影響で、武富士には継続企業の前提に関する重要な疑義が付いています。

やはり、「継続企業の前提に関する重要な疑義」が付いている銘柄は、買わない方が無難でしょう。例え、配当利回りが高そうに見えても。

なお、今年に入ってからの上場企業の倒産は、下記のようになっています。武富士が6社目となります。

▼2010年度 倒産上場企業の一覧

▼関連記事

• 循環取引とは　【株式用語解説】
• 会社四季報速報とは
• 会社四季報速報を無料で読むことができる証券会社
• 日経テレコン21を無料で利用できる証券会社
• 日経会社情報を無料で読むことができる証券会社
• 会社四季報とは　(株式用語解説)
• 会社四季報を無料で読むことができる証券会社
• ロイター・ニュースとは
• 株式新聞速報ニュースを無料で読むことが出来る証券会社