太洋興業、民事再生法申請(倒産)で上場廃止

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12月8日、農業用資材、包装資材、土木機材販売の太洋興業(株) 【JASDAQ:7449】が、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し受理されたと発表しました。

いわゆる倒産です。負債は約148億円です。

これを受け、ジャスダック証券取引所は2009年1月9日付で太洋興業株を上場廃止にすると発表しました。

以下、帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。

農業用資材、包装資材、土木機材販売
ジャスダック上場
太洋興業株式会社
民事再生法の適用を申請
負債148億3300万円

TDB企業コード:985393601

「東京」 太洋興業(株)(資本金9億1582万5000円、東京都中央区東日本橋2-24-14、代表中村哲雄氏、従業員217名)は、12月8日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。

~~~中略~~~

 しかし、農業就業人口の減少、海外農産物の流入が強まるなど国内農業が疲弊するなか、需要家の買い控えが見られ、2007年9月期には年売上高約218億6400万円にまで落ち込んでいた。2008年9月期に入っても、原油価格の高騰による原材料の値上げ基調が続いたことに加え、燃料費や肥料価格の大幅値上がりによる農業経営への圧迫に基づく需要の減少など事業環境はさらに悪化、このため業務の合理化・効率化を進めていた。

 こうしたなか、11月に入り96年9月期から架空の利益計上を行うなど連結ベースで約25億円に及ぶ不適切な会計処理が行われていたことが発覚、信用低下から自主再建は困難と判断し今回の措置となった。

さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何回も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に判ってくるからです。

しかし、太洋興業の場合は粉飾決算をしていたので、2007年9月期の見た目の財務状況は、危機的な状態には見えませんでした。

四季報で太洋興業の2007年9月期の決算を見るに、太洋興業は総資産190億円に対して、自己資本(株主持分)が26億円しかありませんが、有利子負債も58億円とそれ程大きくありません。そして、営業キャッシュフローは3.5億円のプラスですし、利益剰余金も11億円のプラスになっていました。

しかし、太洋興業は、2008年11月12日に「不適切な会計処理がある」との疑惑から社内調査チームを設け、11月16日の臨時取締役会で外部の弁護士・公認会計士による社外調査委員会を設置。11月27日に監査法人から『棚卸資産および売掛金に架空計上等の不適切な会計処理がある』との指摘を受けました。

そして、粉飾決算について調査を進めたところ、太洋興業は債務超過に陥っていることが発覚しました。以下、2008年11月28日の日経新聞の記事からの抜粋です。

太洋興業、不適切会計処理の社内調査内容を発表

 太洋興業は27日夜、担当監査法人から不適切な会計処理の存在を指摘された問題について社内調査の内容を発表した。1996年9月期から架空の利益計上を続けた結果、2008年9月期時点で計24億9300万円の不適切な処理があった。繰り延べ税金資産を取り崩し、単独で2億7700万円の債務超過の見込みという。

こんな風に、粉飾決算を行っている会社の財務状況は、実際よりかなり良い状態に見えるので困りものです。

四季報を見るだけでは、粉飾決算を見破るのは不可能です。四半期決算ごとに貸借対照表を毎回チェックしても、粉飾を見破るのは難しいように思われます。

今年、粉飾決算をが発覚した後、上場廃止になった企業には太洋興業の他に、プロデュースアリサカがありますが、粉飾発覚前にプロデュースやアリサカの企業の上場廃止を予測するのも非常に困難でした。

やはり粉飾決算は個人投資家にとって最大の敵です。

粉飾決算によるダメージを軽減するには、下記のような対策が必要と思われます。

  1. 財務状況の悪い企業に投資しないこと ・・・ 財務状況や営業の業績の悪い企業は、それを隠すために粉飾に走る可能性が高い。
  2. マイナーな監査法人の監査を受けている企業には投資しないこと ・・・ 個人経営の監査法人は監査が緩い傾向がある。逆に大手の監査法人トーマツは、監査の基準が厳しい。
  3. 一社に集中投資をしないこと ・・・ 1社だけに集中投資をしていて、もし、その企業が粉飾決算をしていたら、株価下落により致命的な損失をこうむってしまう。
  4. 新興市場のよくわからない企業には投資しないこと ・・・ 歴史の長い大企業でも粉飾決算をしている企業はあるが、粉飾決算をする企業はやはり歴史の浅い新興市場の方が多い。

なお、今年倒産した上場企業は、下記の32社です。年間の上場企業の倒産数では戦後最多であった2002年の29件を抜き、最多となっています。

今年の上場企業倒産のうち、不動産業と建設業関連の倒産は23社と7割を超えています。しかも9月以降の3カ月間だけで、上場不動産・建設の倒産は14社に達しています。

倒産理由では、資金繰りの行き詰まりが目立ち、不動産関連企業は金融危機の深刻化の影響を強く受けています。

  1. グレース
  2. レイコフ
  3. ニイウスコー
  4. アリサカ
  5. トスコ
  6. スルガコーポレーション
  7. 真柄建設
  8. エー・エス・アイ(株) (旧・(株)アスキーソリューションズ
  9. キョーエイ産業 ※
  10. ゼファー
  11. 三平建設
  12. アーバンコーポレーション
  13. 創建ホームズ
  14. トランスデジタル
  15. Human21
  16. リプラス
  17. ジェネシス・テクノロジー
  18. シーズクリエイト
  19. プロデュース
  20. ランドコム
  21. エルクリエイト
  22. 新井組
  23. ニューシティ・レジデンス投資法人
  24. 富士バイオメディックス
  25. 井上工業
  26. 山崎建設※
  27. ノエル※
  28. ダイナシティ※
  29. ディックスクロキ
  30. オリエンタル白石
  31. モリモト
  32. 太洋興業

※をつけた会社は不動産関連企業or建設関連企業です。

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