2015年1月28日、定期航空運送事業を営むスカイマーク【東証1部:9204】が、
東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同地裁に受理されました。
いわゆる倒産です。負債は約710億8800万円となっています。
これを受け、東京証券取引所は、スカイマーク株を2015年3月1日付で上場廃止にすると発表しました。
以下、企業信用調査で有名な帝国データバンクのウェブサイトからの抜粋です。
2015/01/28(水) 定期航空運送
今年初の上場倒産、東証1部上場
スカイマーク株式会社
民事再生法の適用を申請
負債710億8800万円TDB企業コード:987544705
「東京」 スカイマーク(株)(資本金141億8673万3442円、大田区羽田空港3-5-7、代表有森正和氏など2名、従業員2209名)は、1月28日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。
~~中略~~
しかし近年は、複数の国内LCC(ローコストキャリア)の台頭により価格競争が激化。不採算路線の見直しを行っていたものの、燃料費の高騰の影響などから、2014年3月期は年収入高約859億7500万円に対し、約18億4500万円の最終赤字を余儀なくされていた。
さらに7月下旬には代金支払いのメドが立たないことを理由に欧州エアバス社から納入予定だった6機の超大型旅客機「A380」の売買契約解除を通知され信用は大きく低下。解約違約金を巡ってはエアバス社と減額や支払済の前払金について交渉を続けてきた。
一方、日本航空や全日本空輸との共同運航など支援要請を検討していたが、2014年12月の搭乗率(全路線平均)も54.5%と低迷、資金繰りが悪化していた。
負債は約710億8800万円。
さて、私は上場企業が倒産すると、必ず会社四季報を見ることにしています。「会社四季報で倒産した企業のページを見ること」を何度も繰り返していくうちに、どういった財務内容の企業が危ないのか感覚的に分かってくるからです。
四季報でスカイマークの「2015年3月期の第2四半期決算」を見るに、スカイマークは総資産が774億円あります。自己資本は384億円となっています。自己資本比率は49.7%となっているので、この数字だけを見て、倒産を予見することは困難です。
有利子負債は0円となっており、この数字は健全です。
また、利益剰余金は+110億円となっており、この数字も倒産を示唆するような値ではありません。
また、四季報に載っている2014年3月期の本決算でのキャッシュフローの数字は、下記のようになっています。
スカイマークのキャッシュフロー
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+3億円
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-139億円
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-4億円
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投資キャッシュフローの数値はマイナス139億円と大きくなっています。ただし、自己資本比率や有利子負債や利益剰余金の数値は健全であったため、四季報で貸借対照表の数字を追っていただけでは、倒産の兆候をつかめなかったでしょう。
しかし、四季報には会社ごとに、企業の解説記事が載っています。2014年12月に発売された四季報には、スカイマークについて下記のような解説記事が載っていました。
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【大赤字】主要路線への中型機導入に遅れ。機材、整備費が想定以上に膨張。16年3月期は不採算路線撤退、値上げ進め均衡圏まで改善。A380解約特損織り込まず。
【現預金】9月末45億円と僅少。10月、シミュレーター等を18億円で売却。資産売却進め、今期末までにさらに30億~40億円の手元資金確保へ。羽田発着便中心にJALとの共同運行を年明けメドに検討。疑義注記。
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四季報だけでなく、スカイマークが発表した平成27年3月期 第2四半期決算短信にも記載があるのですが、スカイマークには継続企業の前提に関する重要な疑義が付いていました。
国内LCC(ローコストキャリア)の台頭により価格競争が激化し、2015年3月期の第2四半期において、スカイマークは57億4400万円の当期純損失を計上したからです。
やはり、「継続企業の前提に関する重要な疑義」が付いている銘柄は、買わない方が無難でしょう。
日頃から、四季報に載っている企業解説記事や、スカイマーク発表の四半期決算短信に目を通していた個人投資家は、今回のスカイマークの倒産を避けることができたかもしれません。
なお、2015年度の上場企業の倒産は、下記のようになっています。
▼2015年度 倒産上場企業の一覧
会社名 | 証券取引所と証券コード | 倒産の形態 | 倒産時の負債 | 倒産の日付 (2015年) |
上場廃止日 (201年) |
スカイマーク | 東証1部:9204 | 民事再生 | 約710億8800万円 | 1月28日 | 3月1日 |
なお、上場企業の倒産は今年に入って初めてで、2013年8月のワールド・ロジ(株)以来、17ヶ月ぶりのことです。
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