3月28日、クリック証券が東日本大震災発生以降の株式市場の急落で、日経225先物・日経225オプション取引・信用取引・FX取引を行っている顧客の損失分(決済損)の回収が進まず、3億9千万円の不足金が発生したと発表しました。
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震およびこれに端を発した福島第一原子力発電所事故の影響により、週明けの3月14日から同15日にかけて日経平均株価指数が2,000円を超える大幅な値下がりとなりました。
▼3月11日から3月17日の日経平均株価の値動き
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
---|---|---|---|---|
2011年3月17日 | 8,913.35 | 9,093.61 | 8,639.56 | 8,962.67 |
2011年3月16日 | 8,767.2 | 9,168.51 | 8,763.95 | 9,093.72 |
2011年3月15日 | 9,441.66 | 9,441.66 | 8,227.63 | 8,605.15 |
2011年3月14日 | 10,044.17 | 10,049.92 | 9,578.65 | 9,620.49 |
2011年3月11日 | 10,298.64 | 10,378.55 | 10,254.43 | 10,254.43 |
2011年3月10日 | 10,544.13 | 10,549.17 | 10,410.1 | 10,434.38 |
日経平均株価急落の結果、クリック証券で日経225先物・オプション取引をしていた多数の個人投資家において、多額の損失が発生しました。
支払い不可能なほどの巨大な損失を抱えた個人投資家が続出し、その損金をクリック証券が立て替えているわけです。不足金は3億9千万円になっています。
東洋経済新報社の記事によると、今回の相場乱高下では、日経225オプション取引における「プットの売り」で巨額の損失を出した個人投資家が多いということです。
~~~前略~~~
今回は地震発生後の日経平均の8000円台への急落に伴い、主に日経225オプション取引のプットの売り手に巨額の含み損が発生した。ネット証券ではこ うした含み損が発生した場合、顧客に「追い証」と呼ばれる追加の差し入れ金の払い込みを求める。しかし、「期日までに追い証が払い込まれない場合は、強制 的にプットを買い戻し、足りなかった金額が不足金として発生する」(マネックス証券)。
ところで、クリック証券ですが、直近の財務状況は下記のようになっています。以下、クリック証券のウェブサイトからの抜粋です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(1)連結経営成績(累計) (百万円)
営業収益 | 経常利益 | 四半期純利益 | |
23年3月期第3四半期 | 11,552 | 3,525 | 2,179 |
(2)連結財政状態 (百万円)
総資産 | 純資産(※) | |
23年3月期第3四半期 | 120,114 | 10,583 |
(※)期末以降の平成23年3月2日に、総額26億3,200万円の第三者割当増資を実施しております。
~~~以上、クリック証券のウェブサイトからの抜粋~~~
23年3月期第3四半期決算の時点で純資産が105億円あり、純利益を21億円稼いでいます。よって、今回の損失で「ひまわり証券のように証券事業が廃止」となる可能性は極めて低いと思われます。
以下、クリック証券のウェブサイトの発表文からの抜粋です。
2011年03月28日
不足金の状況(3億9千万円)について
この度の東北地方太平洋沖地震による株価急落の影響で、当社の財政状態および経営成績に関するお問い合わせを頂いておりますので、当社の不足金の状況について、お知らせいたします。
平成23年3月25日時点において、上場先物・オプション取引、株式信用取引および外国為替証拠金取引で発生した不足金額は、約3億9千万円でありますが、これによる当社の財政状態および経営への影響は軽微であります。
また、当該不足金は、日々、解消の傾向にあり、今後も不足金の回収状況の進捗に伴い、当該不足金額は減少していくものと想定されます。
なお、当社の平成22年12月末の連結純資産は10,583百万円であり、この度の不足金の発生により、当社の財政状態を損なうことはありません。
(1)連結経営成績(累計) (百万円)
営業収益 経常利益 四半期純利益 23年3月期第3四半期 11,552 3,525 2,179
(2)連結財政状態 (百万円)
総資産 純資産(※) 23年3月期第3四半期 120,114 10,583 (※)期末以降の平成23年3月2日に、総額26億3,200万円の第三者割当増資を実施しております。
クリック証券株式会社は平成23年4月1日より、GMOクリック証券株式会社に商号を変更し、新しくスタートいたします。
クリック証券は、今後とも業界最安値水準の手数料体系を維持するのみならず、お客様の多様なニーズにお応えできるよう、総合的な金融サービスを目指して取扱商品の充実に取り組み、より使いやすく、より利便性の高い最先端の取引システムと革新的なサービスを提供すべく邁進してまいります。
東北関東大震災に端を発した株式市場の混乱で、顧客取引による多額の損金発生について発表したのは、今のところ下記の6社です。
- ひまわり証券、東日本大地震の影響で日経225先物事業と証券事業を廃業、店頭FXは継続
- 松井証券、東日本大地震をきっかけとした株式相場急落で不足金35億円発生
- マネックス証券、東日本大震災をきっかけとした株式相場急落で決済不足金13億円発生
- auカブコム証券、東日本大地震をきっかけとした株式相場急落で不足金39億円発生
- 岡三オンライン証券、東日本大地震をきっかけとした株式相場急落で不足金18億円発生
- クリック証券
3月11日から15日にかけて、日経平均株価が高値10,378円から安値8,227円まで急激に動いたわけですから、日経225先物・オプション取引を提供している証券会社はどこでも、個人投資家から損金を回収できない事態が発生している可能性があります。金額に大小はあるでしょうが。
相場の乱高下で、個人投資家が日経225先物・オプション取引で多額の損失を出すリスクが高まったため、ネット証券各社でも、日経225先物取引の必要証拠金を改訂する会社が相次いで出てきています。
ネット証券の日経225先物取引の必要証拠金について知りたい方は、当サイトの日経225先物取引手数料比較表と日経225mini手数料比較表をご覧ください。
手数料だけでなく、必要証拠金の倍率も掲載しています。
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