3月18日、マネックス証券が東日本大震災発生以降の株式市場の急落で、日経225先物や日経225オプション取引を行っている顧客の損失分(決済損)の回収が進まず、13億円の不足金が発生したと発表しました。
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震およびこれに端を発した福島第一原子力発電所事故の影響により、週明けの3月14日から同15日にかけて日経平均株価指数が2,000円を超える大幅な値下がりとなりました。
▼最近の日経平均株価の値動き
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
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2011年3月17日 | 8,913.35 | 9,093.61 | 8,639.56 | 8,962.67 |
2011年3月16日 | 8,767.2 | 9,168.51 | 8,763.95 | 9,093.72 |
2011年3月15日 | 9,441.66 | 9,441.66 | 8,227.63 | 8,605.15 |
2011年3月14日 | 10,044.17 | 10,049.92 | 9,578.65 | 9,620.49 |
2011年3月11日 | 10,298.64 | 10,378.55 | 10,254.43 | 10,254.43 |
2011年3月10日 | 10,544.13 | 10,549.17 | 10,410.1 | 10,434.38 |
日経平均株価急落の結果、マネックス証券で日経225先物・オプション取引をしていた多数の個人投資家において、多額の損失が発生しました。
支払い不可能なほどの巨大な損失を抱えた個人投資家が続出し、その損金をマネックス証券が立て替えているわけです。不足金は13億円になっています。
東洋経済新報社の記事によると、日経225オプション取引における「プットの売り」で巨額の損失を出した個人投資家が多いということです。
~~~前略~~~
今回は地震発生後の日経平均の8000円台への急落に伴い、主に日経225オプション取引のプットの売り手に巨額の含み損が発生した。ネット証券ではこ うした含み損が発生した場合、顧客に「追い証」と呼ばれる追加の差し入れ金の払い込みを求める。しかし、「期日までに追い証が払い込まれない場合は、強制 的にプットを買い戻し、足りなかった金額が不足金として発生する」(マネックス証券)。
ちなみに、3月18日時点でマネックス証券は、今回の不足金13億円が貸倒引当金になるかはまだ確定していません。今後の回収状況や相場展開によっては、不足金の額が増減する可能性があるからです。
ところで、マネックス証券の親会社であるマネックスグループ【証券コード:8698】ですが、私の手元にある最新の会社四季報で確認したところ、2007年~2010年にかけての純利益の推移は下記のようになっています。
純利益
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2007年3月期連結決算 | +95億3400万円 |
2008年3月期連結決算 | +72億600万円 |
2009年3月期連結決算 | -21億4400万円 |
2010年3月期連結決算 | +37億7600万円 |
また、マネックス証券の純資産は、2010年12月末の時点で427億円あります。よって、今回の損失で「ひまわり証券のように証券事業が廃止」となる可能性は極めて低いと思われます。
以下、マネックスグループのウェブサイトの発表文からの抜粋です。
平成23年3月18日
各位
マネックスグループ株式会社代表取締役会長兼社長 CEO 松本大(コード番号 8698 東証第一部)
当社の子会社であるマネックス証券株式会社(以下「マネックス証券」)におきまして、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震後の株式相場の急落に伴い、主として先物・オプション取引顧客において、決済不足金の取立不能のおそれが生じましたのでお知らせいたします。
記
1.債権の種類および金額
主として先物・オプション取引における決済損に対する不足金が約13億円発生しました。この金額には未決済の建玉の評価損から受け入れられている証拠金を控除した結果不足となっている金額を含めております。
また、信用取引の決済損による不足金から担保を控除した金額および外国為替証拠金取引の決済損による不足金も含めております。なお不足金の回収の進捗に伴い減少する可能性がありますが、今後の株式相場によってはさらに新たな不足金の発生のおそれもありえます。
2.
業績に与える影響現時点では、2011年3月期決算における処理については確定しておりません。
3.今後の事業に与える影響
不足金全額について貸倒引当金の繰入もしくは貸倒損失を計上したとしても、当社の連結純資産は2010年12月末において710億円、マネックス証券における純資産は 427億円であるため、財政状態を損なう規模の損失ではありません。
またマネックス証券における 2010年12月末の金融商品取引法に基づき算出した自己資本規制比率は 486.0%でありますが、同様の処理を行った場合は 15%程度減少するものの金融商品取引業者として事業を行う上での問題はありません。
以 上
【お問合せ先】
マネックスグループ株式会社
経営管理部 コーポレートコミュニケーション担当 久保田 電話 03-6212-3750
東北関東大震災に端を発した株式市場の混乱で、顧客取引による多額の損金発生について発表したのは、今のところ下記の4社です。
3月11日から15日にかけて、日経平均株価が高値10,378円から安値8,227円まで急激に動いたわけですから、日経225先物・オプション取引を提供している証券会社はどこでも、個人投資家から損金を回収できない事態が発生している可能性があります。金額に大小はあるでしょうが。
相場の乱高下で、個人投資家が日経225先物・オプション取引で多額の損失を出すリスクが高まったため、ネット証券各社でも、日経225先物取引の必要証拠金を引き上げる会社が相次いで出てきています。
ネット証券の日経225先物取引の必要証拠金について知りたい方は、当サイトの日経225先物取引手数料比較表と日経225mini手数料比較表をご覧ください。
手数料だけでなく、必要証拠金の倍率も掲載しています。
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