貸借銘柄 [読み:たいしゃくめいがら]
祐作:先輩、貸借銘柄ってなんですか?
兜:ふむ、貸借銘柄というと、制度信用取引で空売りが可能な銘柄のことだな。証券取引所および証券金融会社が定める基準を満たした銘柄が選ばれているぞ。
祐作:証券金融会社ってなんですか?
兜:証券金融会社は、証券会社が投資家に融通する資金や株が足りない場合、資金や株を証券会社に貸す事業を行っている会社だ。
祐作:なんでそんな会社があるんですかね?
兜:例えば、祐作がAという銘柄を空売りしたとする。空売りは証券会社から株券を借りて売る行為だから、証券会社にAの株券がないといけない。しかし、証券会社内にAの株券がない場合もある。このとき、証券会社は証券金融会社からAの株券を借りて、祐作に貸し出すわけだ。
祐作:なるほど、そういうことですか。証券金融会社は信用取引のために株券を備蓄しているわけですね。
兜:そう、そして株券だけでなく信用取引用の資金もプールしてあるんだ。証券会社の資金や持ち株には限度があるから、それを越えた場合は証券会社が証券金融会社から借りてまかなう。これを「貸借取引」というんだ。貸借銘柄は「貸借取引ができる銘柄」ということさ。
祐作:ところで、貸借銘柄であれば、どれでも制度信用取引で空売りができるんですか?
兜:いや、必ずしもそうとは限らない。貸借銘柄においても、過度に空売りが集中した場合で証券金融会社でさえその株式を調達できない場合、空売りが禁止されることもある。空売りが禁止されることを一般的に「売り禁」と呼ぶ。
また、証券金融会社が「売り禁」を行う前に、他の大株主から株券を調達することもある。
証券金融会社が、他の株主から株券を調達した場合、個人投資家は空売りを継続して行うことができる。しかし、継続のコストは株式の売り手(空売りをしている投資家)が負担することになる。このコストを「逆日歩もしくは品貸料」と呼ぶ。
逆日歩は「ぎゃくひぶ」と読み、「ぎゃくにちぶ」や「ぎゃくにっぽ」とは読まないので注意してほしい。