グッドウィルの株価がストップ安 子会社コムスンの介護施設の新設・更新が不許可に

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6月6日、グッドウィル・グループ 【東証1部:4723】の株価が前日比-10,000円 (-12.22%)の終値71,800円と急落しました。ストップ安です。

厚生労働省が6日付で、同社子会社のコムスン(非上場)の介護施設の新規開設と更新を認めないよう都道府県に通知したため、株価が急落しました。

(6月6日、訪問介護事業者最大手であるコムスンの不祥事のニュースで、他の介護事業関連銘柄は株価が上昇しています。)

介護施設の新規開設と更新不許可に至った流れは下記のようになっています。

介護施設の新規開設と更新不許可に至った流れ

  1. コムスンは、全国8か所の事業所で、雇用していない訪問介護員を勤務しているなどと偽り、介護事業所指定を不正に取得。都道府県の役所から介護報酬を不正に得ていた。
  2. 不正発覚後、都道府県はコムスンの介護事業所の指定取り消しに向けて準備を進めていた。
  3. しかし、コムスンは指定取り消し処分を受ける前に、問題があった介護事業所の廃業届けを都道府県に提出。都道府県は事業者の届け出を拒めないため受理せざるを得なかった。このため指定取り消し処分の実行はできず。
  4. 都道府県レベルの対応では今後また処分逃れが発生する可能性があるため、厚労省がコムスンの介護事業所の指定取り消しを決定した←6月6日時点

介護事業の指定取り消しは、一つの事業所が取り消し処分を受けると、「連座制」として同一会社のほかの事業所にも指定取り消しを適用できるので、本当なら上の「2」の時点で終わっている問題でした。

しかし、コムスンはこの連座制の適用を避けるため、指定取り消し処分を受ける前に自ら事業所を廃業させる行為を繰り替えしていたわけです。これに業を煮やした厚労省が今回の決定を下しました。

厚労省の決定により、更新期限が来たコムスンの事業所は閉鎖せざるを得なくなるので、現在2081カ所あるコムスンの事業所は下記の予定で減少していきます。

年度 事業所の減少数 コムスンの総事業所数
2007年 2081
2008年 657 1424
2009年 365 1059
2010年 339 720
2011年 294 426

厚労省の今回の措置でただちに、コムスンのすべての事業所のサービス提供ができなくなるわけではなく、約5年の処分期間が終われば再び新規事業所の開設や更新ができるようになるので、2012年以降は事業所の数が増える可能性もあります。

しかし、介護報酬の不正請求ができなければ、介護事業で儲けを出すのは難しいため、グッドウィルが介護事業を他社に売却する可能性も出てくるでしょう。

昨年グッドウィルが人材派遣・請負大手のクリスタルグループ(非上場)を買収した背景には、介護事業が儲からなくなった場合のリスクヘッジという意味合いもあったかと推測されます。グッドウィルの2007年6月期連結売上高予想は5000億円で、このうちコムスンの売上高予想は700億円となっています。

ところで、2006年12月27日に読売新聞社が「コムスン、介護報酬を過大請求」という記事を配信した際、グッドウィルは記事について一切事実無根であると全否定しました。さらに読売新聞社に対して法的措置についても検討を開始したと発表していました。

・関連記事 グッドウィルの株価が大幅安 子会社コムスンが介護報酬を過大請求か?より

しかし、結果は読売新聞の主張が正しく、グッドウィルは2007年4月23日付けで謝罪文を発表しています↓

平成19 年4 月23 日
各 位
会社名グッドウィル・グループ株式会社
代表者名代表取締役会長 折口 雅博
(コード番号 4723 東証第一部)
問合せ先常務取締役管理本部長
兼会長室長 金崎 明
( T E L 0 3 – 3 4 0 5 – 9 2 6 2 )

「2006 年12 月27 日付読売新聞朝刊一面の報道につきまして」との当社見解について

当社ホームページにて掲載した上記見解につきましては、当社が同日時点において認識出来た事実関係をもとに作成したものですが、不適切な表現があったことを率直に認めるとともに、読売新聞社に対し深くお詫び申し上げます。
なお、上記理由から当社は上記見解を既にホームページ上から削除しております。
当社と致しましては、今回の改善勧告を真摯に受け止め、深く反省致しますとともに、今後の業務改善に向けた取り組みを全力で行う所存であります。
以 上

↑2007年4月23日のグッドウィル社のIRページにあったPDFより。現在、グッドウィル社のIRページからはこのPDFは削除されている模様。

今後、グッドウィル社にはコンプライアンス(法令遵守)を尊重する姿勢が求められるでしょう。

関連情報

▼2007年6月6日のグッドウィル社の発表文 (PDF)

厚生労働省老健局よりの指導について

平成19 年6 月6 日
各 位

会社名 グッドウィル・グループ株式会社
代表者名 代表取締役会長兼CEO 折口雅博
(コード番号 4723 東証第一部)

問合せ先 常務取締役兼CFO 金崎 明
( T E L . 0 3 – 3 4 0 5 – 9 2 6 2 )

厚生労働省老健局よりの指導について

本日、厚生労働省より当社子会社株式会社コムスン(以下コムスン)に対し、下記のご指導を頂戴
しました。

当社及びコムスンと致しましては、真摯に重く受け止め厚生労働省のご指導に従うとともに、今後、
厚生労働省及び各自治体のご指導を頂きながら、お客様のサービス継続と従業員の雇用確保を最
優先として責任を果たして参ります。

1. 株式会社コムスン(以下コムスン)の全国8 ヶ所の介護事業所において、「不正の手段により指
定を受けた」という指定取消処分相当の事実が確認された。

2. これにより、コムスンの介護事業所について、平成23 年12 月7 日までの期間、介護保険法に
規定する指定・許可・更新を許可しない。

3. 各事業所の更新時期が到来するまでの間、利用者に対するサービス提供を行うことは指定事業
者の義務であること。

4. 事業所が更新を迎えた場合又は廃止を行う場合には、それまでの間に、利用者への説明、他事
業者への紹介等を徹底すること。

5. 利用者の円滑な利用移行のための計画を作成し、本年7 月末までに、厚生労働省、都道府県
等に報告し、以後、進捗状況を定期的に報告するとともに、必要に応じて行政の指導を受ける
こと。

6. この他同社従事者の雇用確保への配慮をすること。

以上

皆様には、多大なご心配及びご迷惑をお掛けしております事を、心よりお詫び申上げます。
当社決算期末は6 月であり、本件による平成19 年6 月期の連結業績に与える影響は軽微で
あると判断しております。平成20 年6 月期連結業績に与える影響につきましては、分かり次第
開示を致します。

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